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アインシュタインの文章,今回の選挙の評論でもおかしくない [メディア・出版・アート]

昨日紹介した,アインシュタインの社会主義支持論の引用を追加し,少しコメントします.

冒頭,非専門家が社会主義について発言することの意味と必要性を述べています.これは,E.サイードが『知識人とは何か』で述べている「アマチュアリズム」にも通じるものです.

中程より少し後(冊子では7ページ右下)から,一つのパラグラフを紹介します.この終わりの部分は,「ラジオ」を「テレビ」に置き換えれば,今度の選挙の結果の評論であったとしても決しておかしくありません!

 私的資本は集約されて寡占状態に向かう.それは一つは資本家の間の競争により,また一つには技術的な発展と分業の増大が,小企業を犠牲にしながら生産単位を大きくする方が有利であることによる.この過程の結果,寡占状態の私的資本の力は著しく増大して,民主的に組織された政治的な環境においてもうまくチェックすることができなくなる.立法院の議員は政党が選択するが,その政党は私的資本から財政的その他の援助・影響を受けていて,一方私的資本には選挙民を立法院からなるべく隔離しておこうと考える実際的な理由がある.その結果,市民の代表は特権を持っていない人々の利益を十分には守らない.さらに現在の状況では,私的資本が主要な情報源(新聞・ラジオ・教育)を直接・間接に操るということが不可避であるその結果,個々の市民が客観的な結論に達して,政治的な権利をうまく使うということは非常に難しく,多くの場合に全く不可能である1401577.gif全文収録

 この少し前には,資本主義社会の基本的な仕組みについてマルクス主義的な見方の説明があります.それは,私なりの言葉で述べると,この社会は資本家と労働者というように大きく利害関係が二分されており,両者の間で富の分け前をめぐって争いがある,ただし自然状態では前者が圧倒的に優位にあるので,後者は団結権やストライキ権を使って,そのバランスを回復しようとする,という,大まかな枠組みの理解です.

 これはマルクス主義の基本的な成果ですが,ソ連の崩壊とともにあたかもこの基本的な命題までもが旧く,無効になってしまったかのような錯覚が,幅広く存在するのではないでしょうか.つまり,「少なくとも資本主義社会で暮らす限りだれでも知っておくべき常識」というものが失われてしまっていて,さまざまの「なんとか社会論」なるもの(それらは高次の補正項*でしかないのに)が人々を幻惑させているのではないかと思います.

 物理学の分野でも理論は進化し,物体や粒子の運動を理解し記述する方法は,有名なニュートンの古典力学,アインシュタインの相対論,そして現代の量子力学と発展してきましたが,だからと言ってニュートンの力学が無効になったわけではありません.日常の,普通の速さで動く物体については,ニュートン力学が十分に正確であり有力な方法なのです.自動車のエンジンの大きさと車体の重さの関係を決めるのに,だれも量子力学を使ったりしません.社会科学についても同様なことが言えるのではないでしょうか.資本主義社会である限りマルクスの基本的な分析の大枠は今でも妥当であり,社会を理解するためのベーシックなツールなのです.

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* また物理の業界用語ですみません.
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