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福島市の大気中の放射性セシウム [仕事とその周辺]

1401577.gifテクニカルメモを作りました.1401577.gif(12/22)論文にしました.http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2011-12-23
福島で学生主催の集会で話をしましたが,そのレジュメ等は前の記事に書きました.せっかく福島に行くのだから,現地の放射能測定をしようと思いました.ガンマ線の空間線量はよく測られているので,ほとんどデータを見かけない,大気中の放射能—おそらく大半はセシウム同位体—を捕まえようということです.本格的なものではなく,自動車のエアフィルタと廃棄パソコンからはぎ取ったファンを組み合わせて,簡易の集塵機を作りました.応援のクリック歓迎

sany0072tn.jpg新幹線の福島駅ホームに降りてすぐファンを回し始め,翌日同じホームで列車に乗り込む直前にスイッチを切りました.10月21日15時46分から22日10時16分までの18時間30分間,旅行者である私と同様,1分も休むことなく福島市の大気を吸い続けたことになります.(厳密には,バッテリーとAC電源の切り替えで全体で数十秒は止まっていますが.)右の写真はホテルの窓際で稼働するフィルターです.クリックで拡大します.

DSC_2142tn.jpg前の記事で紹介した,福島県産の桃を測定したのと同じシステムで,ガンマ線スペクトルを取りました.ただし,鉛シールドを増やしたことで,バックグラウンドが相当減らせました.

エアフィルタから濾紙だけをはぎ取ってシンチレータに巻き付け,46.5時間,つまりほぼ2昼夜にわたってカウントしました.バックグラウンド測定のため空っぽの状態で約16時間カウントし,同じ測定時間に換算して比較したのが次の図です.セシウムのピークが確認出来ます.
spectra.gif
FitzPeaks(NaIバージョン,評価版)で解析したところ,次のように出ました.

Cs-134:0.74 Bq
Cs-137:1.01 Bq
(統計誤差はいずれも31%)

使ったファンの風量は,ネット上のデータシートから38.6CFM ,メートル法で65.59m^3/h.これで18.5時間運転したので,吸気量は1,213.4m^3.これで上記の放射能を割ると,次のように濃度が出ます.(統計誤差は同様にいずれも31%)

Cs-134:6.13 x 10のマイナス4乗 [ Bq/m^3 ]
Cs-137:8.29 x 10のマイナス4乗 [ Bq/m^3 ] (829μBq/m^3)

10月23日現在のCTBT 高崎観測所のデータが,上と同じ10のマイナス4乗 Bq/m^3 の単位で,Cs-134と Cs-137がそれぞれ0.58と0.81ですから,ほぼその10倍ということになります.

もっとも,使用したフィルター(FirstGridという商標のSU-102という品番)は,ある文献によると「粒子径7〜9μm以上の大きさの場合98%以上捕獲」とありますので,それ以下の粒径のものははかなり通すと思われます.したがって実際の値は上の数値の少なくとも何割増しか,あるいは数倍になるかも知れません.

問題はこの大気を呼吸することによる被ばく量,つまり預託線量です.吸入量(摂取量)から線量への変換係数はいろいろありますが,大きい方のECRRの,Cs-134と Cs-137についてのそれぞれ2.00E-08と6.50E-08 [Sv/Bq]を使い,呼吸率を22.21m^3/dとすると,1年間吸入し続けた場合でも0.5μSvと大変小さな値になります.フィルターの目の粗さによる過小評価があるとしても,ガンマ線の外部被ばくに比べたら,また食品による内部被ばくに比べてもはるかに小さいでしょう.

セシウム以外の他の核種はさらに少ないと思われますが,しかし地面や壁に落ち着いていたものが除染作業などで舞い上がったりすれば,大気中濃度が上がる心配もあります.公的機関による測定と公表は必要でしょう.福島県のウェブサイトを探しましたが,この種のデータは見あたりませんでした.

余談ですが,いかにも怪しげなこの装置自体は空港の保安検査を通りましたが,バッテリーがダメでした.希硫酸が入っているからだそうです.そこで東京に着くなり秋葉原に走り,同じバッテリーを探しました.さすが秋葉原です.少し歩き回ったら見つかりました.

測定と解析の詳細はテクニカル・メモをご覧下さい.
1401577.gifスペクトルの生データを公開します.
http://ad9.org/blog/airfilter2.xls
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yamamoto

ペーパーにまとめることにしましたが,その中で思ったのですが,自動車のエアフィルターを大量に収集し測定することが大事のようです(ECRRのバスビー博士がやったように).その使用時期つまり運転状態がはっきりしていれば,時期ごとの濃度が測れる可能性があります.例えば,3.11以前から使っているものと,3.15から使い始めたものの差をとれば,時間差分の4日間の空気の状態が割り出せるわけです.

by yamamoto (2011-11-13 19:04) 

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