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人工放射能と自然放射能とでは人体作用が違うのか? [仕事とその周辺]

1401577.gif(冒頭のこの段落は9/22追加) 前の記事は放射線がイオンを作る,というところまでで,なぜそれが悪いか,という説明が(人工/自然放射線の違いの前に)抜けていました.イオンというと「マイナスイオン発生器」などを連想されて,いいのではないか,と思われるかもしれませんが,空気中と違って細胞内で勝手に作られると困るのです.反応性が強い「ラジカル」などが出来てDNA分子などを傷つけます.あるいは,放射線がDNA分子の側を通ると,直接DNA分子の一部がイオン化されて壊されることもあります.

さて,前の記事の冒頭に書いた「人工放射能と自然放射能とでは人体作用が違うのか」という問題ですが,すでにヒントは書いていると思います.外部被ばくに関しては,問題になるのはほとんどγ線なので「質的に違いはなく,量の問題」と言っていいでしょう.他方,内部被ばくでは,核種(元素名とそれに続く数字の組み合わせ)ごとに出す放射線の種類もエネルギーも違い,また元素ごとに集まりやすい臓器も異なるので,量の問題だけではなく質的にも違いがある,と言うことです.
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コマーシャル原発事故緊急対策マニュアル--放射能汚染から身を守るために,日本科学者会議福岡支部核問題研究委員会 編,2011年
たとえば,自然放射能であるカリウム40は全身に分布し,主な「砲弾」はβ線1本なのに対し(γ線は多くが体外に出てしまう),人工放射能であるヨウ素131は甲状腺に集まり,β線だけでなくγ線も(エネルギーが小さいため)体内で電子を飛ばす割合がかなりある,というわけです.また,セシウム137は「カリウム40とセシウム137の違い」の記事で書いたような違いも(定説かどうか不明ですが*)あります.

このように核種ごとに影響がさまざまに違うので,「許容量」の規制も核種ごとに細かくなされています.次の「告示」の別表第1です.
平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)

ただしこれはすべて「線量当量」という,放射線から人体組織が受け取るエネルギーをもとに,ある換算係数(生物学的効果比など)で数値化したもので,その係数には研究の進展段階にともなう不確定さが伴います.また,「原発からのトリチウム放出」の記事の最後に書いたように,放射線ではなく元素が突然変わること(トリチウムの場合は水素がヘリウムに変わる)の影響はまだまだ未解明です.従来これは全く無視され,もっぱら「線量」だけによっているため,原子炉施設から放出される放射性物質の管理においても,他の核種がそれなりに管理されているのに対して,政府系サイトにあるようにトリチウムには,ベクレル当たりの線量が小さいという理由で「放出管理目標値」は定められていません[注].つまり,法規制さえ守ればいくらでも出していいことになっています.その法規制ですが,上に紹介した「告示」のように,「濃度規制」であって「総量規制」ではないのです.

1401577.gif追記:ストロンチウム90は半減期は約30年とセシウム137とほぼ同じですが,骨に集まるため生物学的半減期(体内にどれくらい留まるか)は50年と,セシウムに比べて格段に長いので危険です.海の汚染では特に要注意です.しかもγ線を出さないため測定が面倒で市民測定室では手が出せず,公的データも出にくいのです.
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* 物理の部分は正確ですが,それが生物学的効果に関係するかどうかは未確認.
[注] 次のサイトで「原子炉施設からの放射線」で検索して下さい.
原子力百科事典ATOMICA
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ろうのう

九州での左派リベラルの運動についてはなかなか情報がつかめなかったので、いろいろ教えてくれてありがとうございます。活動ごくろうさまです。
by ろうのう (2013-09-22 10:44) 

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