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退職金裁判,控訴審書面 [仕事とその周辺]

9/20に控訴審の公判口頭弁論が開かれます.遅くなりましたが,控訴理由書以降の控訴人,被控訴人の書面を順次公開します.(以下,原告,被告と呼ぶこともあります.現在,原告書面2,被告書面2まで.)
どれだけ多くの人に注目してもらえるかは裁判官の判断に影響すると思いますので,法廷文書だけでは分かりにくいかと思いますが,ご支援(≈注視)をよろしくお願いします.
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(第一審の文書はこちら判決について控訴理由書)

まず,被告準備書面(1)です.次いで原告準備書面(1)と続きます.
紙の現物イメージ:被告準備書面(1)原告準備書面(1)

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平成29年(ネ)第345号 退職金請求控訴事件
控 訴 人 豊島 耕一 外1名
被控訴入 国立大学法人佐賀大学


被控訴人準備書面 (1)

平成29年7月10日

福岡高等裁判所 第4民事部ト係 御中

被控訴人訴訟代理人 弁 護 士 青山 隆徳
        同 弁 護 士 平山 泰士郎

策1 改正後通則法第50条のl0第3項の要素について
1 総論
改正後通則法第50条の10第3項の各要素について、被控訴人の具体的主張は次項以下のとおりであるが、まずはその位置づけを確認したい。

第1に、同条の規定は、労働契約法第10条の規定に基づく「高度の必要性」を基礎付ける一つの要素に留まるものである。

第2に、同条が規定する4項目の検討要素は、労働契約法第10条の高度の必要性の考慮において検討すべき事項と重複する。それゆえ、これらの主張についての具体的事実関係については、基本的に原審においても高度の必要性の有無として、当事者双方から主張・立在されているものであり、特に新たな主張・立証を要するものではない。

第3に、問項の各要素は、あくまで総合的に判断する際の考慮要素に留まることから、いかなる要素をどの程度考慮するかは、各法人の置かれている状況、給与等の種類(給与であるか退職金であるか等)、給与等の支給についての国の関与の程度等により異なるものである。立法担当者による解説(乙第72号証:[第三版]独立行政法人制度の解説266頁6行目)においても、どの事項に重点を置いて考慮するかは労使に委ねられているとされている。以上によれば、今回の退職手当規定の変更が、国の特殊要因運営費交付金により基本的にその全額を国により填補されていた国立大学法人の退職手当に関するものであることから、同条の解釈としても、下記①②の要素が重視されるべき状況にあり、③④の要素を霊視することは相当ではないものであった。

そして、かかる主張は、原審における被控訴人の高度の必要性の主張と軌を一にするものである。

2 ①一般職の国家公務員等の給与等
この点については、原判決の指摘のとおりである。本件退職手当規定の変更は、国家公務員において調整率を変更したことから、それに適合する形で変更を行ったものである。

3 ②民間企業の従業員の給与等について民間企業の従業員の給与等については、国による調整率の変更自体が、官民較差の是玉を目的とするものであることから、被控訴人における規程変更も、民間企業の従業員の給与等との較差の是正のためになされたものである。したがって、本件規程変更において民間企業の従業員の給与等が考慮、されていることは明らかである。

 そして、①②の主張の具体的内容については、原審において被控訴人が高度の必要性を基礎付ける最大のものとして主張していたものと同一であり、これらの主張内容を援用する。

この点、控訴人らは、調整率を変更する必要性について、具体的にいかなる程度の官民較差が存在するかが明示されていないと指摘する。

しかし、国家公務員における調整率の変更については、人事院による広汎な調査が行われ、その結果が調整率として反映されているのである。そして、国家公務員においてもその職種は多岐にわたるところ、調整率は原則としてその全体に適用するものとして規定されているものであり、特定の職種に限り定められているものでもない。

以上から、民間企業の給与等との較差が具体的に検討されていないとの批判はあたらない。

4 ③当該中期目標管理法人の業務の実績について
本項の点は、控訴人らが原審において、財政上の必要性として検討していたものとほぼ同旨のものである。
すなわち、本要素は当該中期目標管理法人(被控訴人)の業績が向上していた場合、それにより剰余等があるものについて、これを職員の給与を決定する要素となしうるというものであり、この点は控訴人らが原審において、被控訴人の付属病院の収益により被控訴人は退職手当を減額する必要がないと述ペたものと合致する。

しかし、この点については原判決も指摘するとおり、被控訴人においてそのような余剰が存在するものではない一方で、仮に本件規程変更を行わなかった場合、年間2億円の追加の人件費支出を(前記国から交付される特殊要因運営費交付金とは別に)被控訴人は支出せざるを得ないこととなり、それにより被控訴人の教育、研究環境や、あるいは付属病院における再整備事業等の適切な投資ができなくなる懸念がある。

したがって、当該中期目標管理法人の業務の実績、すなわち被控訴人の財政状況を考慮しても、本件規程変更は必要となることは明らかである。

5  ④職員の職務の特性及び雇用形態その他の事情について職員の雇用形態については、本件規程変更の対象となるのは、法人化前に国立大学法人が国の機関であったころ、定員法上の定員内職員とされた者が対象であり、定員外職員は除外されている(原審被告準備書面(2)11頁、乙第5号証6頁以下。なお、被控訴人においては、基本的に定員外職員に対しては退職手当は支給されていない)。

そして、これらの職員に対しては、既に再三説明するとおり、国の特殊要因運営費交付金により、実質的に国の予算により退職手当の全額が手当てされることとなっている。

このような雇用形態は、原審被告準備書面(2)8頁以下で詳細に説明するとおり、国立大学法人の職員が国家公務員でなくなるとしても、直ちに国家公務員の時点での待遇を切り下げることなく、また各国立大学法人の経営状況により退職手当等の支払が困難となることがないよう配慮されたものである。

このように、被控訴人において本件規程変更の対象となる職員(控訴人らの法人化前から勤務したいた者である)については、その雇用形態に照らしても、国家公務員の給与体系と連動する必要性が高いものであった。

また、職務の特性についても、被控訴人の職員は主に教員・研究員、事務職員からなるが、後者については一般的な国家公務員の事務職の者と職務内容に大きな相違はない。前者についても、研究による成果が生じる可能性などは存在するとしても、国立大学法人という被控訴人の性格上、かかる研究成果が直ちに被控訴人の利益として還元されるものではないし、研究については別途研究に関する予算が手当てされることから、それにより直ちに給与、退職手当の基本的水準を他の職員と異にする必要も認めない。

以上から、職員の職務の特性及び雇用形態を考慮しでも、本件規程変更の必要性は認められる。

6 結語
以上から、被控訴人の本件規程変更は、通則法第50条の10第3項の各
要素を全て考慮しても、同条の趣旨に合致するものである。

以 上
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続いて原告準備書面1です.
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平成29年(ネ)第345号 退職金請求控訴事件
控訴人  豊島耕一 外1名
被控訴人  国立大学法人佐賀大学

準 備 書 面 (1)

2017年(平成29年)7月21日
福岡高等裁判所第4民事部ト係 御中

控訴人ら訴訟代理人弁護士 東島浩幸
    同        桑原 健
    同        梶原恒夫
    同        八木大和

 控訴人は,被控訴人の本年7月10日付準備書面(1)への反論を行う上で,被控訴人の主張について明確にすべき点があると思料するので,本書にて以下のとおり求釈明を行うものである。

第1 「官民格差の是正」(原判決38頁)に関する求釈明
 1 考慮すべき要素の軽重ないし比重に関する求釈明
 被控訴人は,本件において,改正後通則法第50条の10第3項の各要素のうち,①「一般職の国家公務員等の給与等」及び②「民間企業の従業員の給与等」の要素が重視されるべきであり,③「当該中期目標管理法人の業務の実績」及び④「職員の職務の特性及び雇用形態その他の事情」を重視することは相当ではない旨主張するが(被控訴人の準備書面(1)2頁。以下,単に「被控訴人準備書面」という。),これら各要素の「比重ないし軽重の付け方」について,本件退職金規程の不利益変更に先立って,被控訴人法人内のどの部署において,どのように検討ないし判断したのか明らかにされたい。

 2 官民格差の有無に関する求釈明
被控訴人が,官民格差の是正の必要性が本件退職金規程の不利益変更の「高度の必要性」を基礎づけると理解するのであれば,その前提として官民較差が実際にどの程度存在し,本件退職手当規程が果たして社会情勢適合の原則の観点からもはや改正しなければならない程度の水準となっていたのか否かについて,検討されるべきものと思料されるが,この点,被控訴人においては,本件退職金規程の不利益変更に先立って,具体的に,いつ,どの部署において,どのように(いかなる資料に基づいて)検討したのか明らかにされたい。

第2 被控訴人の「業務の実績」に関する求釈明
 1 余剰の有無に関する求釈明
 被控訴人は,「被控訴人においてそのような余剰が存在するものではない」(被控訴人準備書面・3頁)として,被控訴人に財政上の余剰がなかった旨主張するが,この点,本件退職金規程の不利益変更に先立って,被控訴人法人内のどの部署において,どのように(いかなる財政資料に基づいて),余剰がない旨,検討ないし判断したのか明らかにされたい。

2 本件不利益変更をしない場合の将来の財政的懸念に関する求釈明
 被控訴人は,「仮に本件規程変更を行わなかった場合,(中略)それにより被控訴人の教育,研究環境や,あるいは附属病院における再整備事業等の適切な投資ができなくなる懸念がある。」と主張するが(被控訴人準備書面・3頁),本件不利益変更を行わない場合の財政上の懸念について,本件退職金規程の不利益変更に先立って,具体的に,いつ,どの部署において,どのように(いかなる資料に基づいて)検討したのか明らかにされたい。

第3 各要素の検討の時期に関する求釈明
 前記第1及び第2の各求釈明は,前記①乃至④の各要素について,被控訴人が本件退職金規程の不利益変更に先立って何らかの検討をなしたはずであるとの前提に立っての求釈明であるが,万が一,これらの各要素について,本件退職金規程の不利益変更に先立って特段の検討を行っていないのであれば,その旨明らかにされたい。

以上
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