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会議に次ぐ会議,地平線をも隠す書類の山,そして・・・ [仕事とその周辺]

アメリカの大学と軍事研究の関わりを描いた“The Cold War and American Science”について時々書いています。(たとえばイントロダクションの全訳
原著者の内諾はあるものの、出版社の当てのないまま翻訳が8割ほど終わりました。7章から印象的な部分を2カ所紹介します。今の日本の大学が置かれている状況、置かれようとしている状況とウリ二つではないでしょうか? また、後者の、フォン・ヒッペルの引用文はとても文学的です。応援のクリック歓迎

(予算で研究者をコントロール、207ページ)
CMSE(材料科学工学センター)が特定の研究テーマを押し付ける力には限界があったが(MITは教育機関であり,大学で研究生活を送る人間にとっての最も重要な特権の一つは研究テーマを選ぶ権利である)、CMSEの指導者たちは、スタッフを選別し予算を与えることで、自分たちが相当な支配権を持てることを認識した。「何らかの分野の新しい採用人事で人を選ぶとき、そして共通の予算からある分野を優遇しほかを絞ることで、多大な圧力をかけることが可能だ。どの教授にも、本人やその学生が何を研究すべきだという命令をする必要はない」と言って彼らはARPAのスポンサーらを安心させた。

(原文)
While there were limits to the CMSE's power to dictate specific research agendas ("We must remember that M.I.T. is an educational institution, and that one of the most valued prerogatives of a man in academic life is the privilege of choosing his own field of research"), its leaders recognized that selecting staff and allocating the money gave them considerable control. "By choosing to make new appointments in one field or in another, and by supporting one area generously, another less so, out of funds for the common purpose, it is possible to exercise a great deal of pressure, without dictating to any professor what he or his students should work on," they reassured their ARPA sponsors.

(末尾の部分、アーサー・フォン・ヒッペル*の言葉の引用、211ページ.1401577.gif2018年5月改訂)
彼は「変化の中の大学」というエッセイで,彼の同世代の科学者やエンジニアにとってほとんど碑文のように聞こえる文章を書いた.「古い象牙の塔に一体何が起きたのか!ひっきりなしに鳴る電話,実験室をぞろぞろと通って行く訪問者の群れ,会議に次ぐ会議,水平線まで覆い尽くす書類の海,そして,かつてベツレヘムの星に導かれた賢人は,今や必死の形相でモスクワの星と時計を睨む.しかしこの騒乱はわれわれ自身の所業に他ならない.大学は,研究が利益をもたらすことを見せ,巨大な研究所は儲けに走った.大学は新しい兵器を開発し,国々は軍事目的の研究所だらけになった.自然の理解と平和とを求めた探求の結末が,われわれの時代に何ということになってしまったのか.」

(原文)
In an essay entitled "The University in Transition," he penned what almost sounded like an epitaph for his generation of university scientists and engineers: "What has happened to the old ivory tower! Telephones ring incessantly; visitors swarm in droves through the laboratories; meetings crowd meetings; an ocean of papers blots out the horizon; and the wise men, once quietly guided by the star of Bethlehem, now frantically count time by the star of Moscow. Yet this turmoil is of our own doing. Universities showed that research pays, and huge laboratories sprang up for profit; universities devised new weapons, and the countries bristle with laboratories for defense. What an outcome of a search for understanding of nature and for peace in our times."
* フランク・フォン・ヒッペルの父
[注] 米ソ冷戦時代のミサイル開発競争が背景に。「モスクワの星」はソ連の衛星やICBMを、「時計」はミサイル誘導に必要な時間の精密測定技術(原子時計など)を象徴すると思われる。
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