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「体制保証」の言葉は意味を理解して使われているのか? [メディア・出版・アート]

朝鮮民主主義人民共和国(以下,北朝鮮)の非核化をめぐって,同国の「体制保証」云々についての議論や報道がなされている.(英語では“guarantee of the regime’s survival”,反対語は“regime change”のようだ.)例として,末尾に2つの記事を挙げる.

可能な解釈は,「軍事行動などで政権転覆を計らないという約束」という意味と思われるが,もしそうなら「体制保証」が議論の対象になることなどあり得ない.主権国家の不可侵は国際法の大原則だからだ.それとも,国連加盟国である北朝鮮を「イスラム国」並みの似非国家と見なすというのだろうか?

「体制」が単に“regime” ではなく “Kim’s regime”(金正恩体制)という使われ方もするので,もう一つの解釈として金正恩の支配体制ないしその後継体制の「保証」という解釈も可能だ.しかしこれも外国が云々することではなく,もし「保証する」となれば内政干渉そのものであり,「体制転換」するかどうかは同国の人民の問題だ.

いずれにせよ「体制保証」に関して他国が取る態度は「主権尊重」の一語に尽きるのであり,そもそも交渉や議論の対象になりうるはずがない.なぜこのことを誰も指摘しないのだろうか.実際には,トランプの“Fire and Fury”という言葉のように,戦争の脅しがまかり通っており,大手メディアの中ではこの違法性をきちんと指摘する発言はほとんどない.

同様の,不思議な言葉遣いは「非核化」についても言える.北朝鮮の数百倍もの数を持ち,しかも2発も,それも日本に使ったアメリカの核は全く問題にせず,もっぱら北朝鮮の核だけを議論する.これまた大手メディアなど主流の言論空間ではほとんど誰もこの異常ぶりを指摘をしない.そのため,多くの人がそれに合わせているのだろう.つまり,「空気を読んで」話をするという癖が,日本人に限らず世界中に行き渡ったのだろうか.毎日新聞の川柳「俺は持つきみは捨てろよ核兵器」は,この「バカの壁」を破るのに役立つだろう.

核兵器もさることながら,おそらく北東アジア地域で最悪であろうと想像される北朝鮮の人権状況が放置されてよいわけがない.しかし,だからと言って主権国家である北朝鮮に戦争を仕掛けていい訳がない.安倍晋三の嘘八百はとうてい放置できないが,だからと言って安倍内閣に対するテロが許される訳ではないのと同じことだ.

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「体制保証」,“guarantee of the regime’s survival”の語を使った記事の例:
Independent誌,Jon Sharman, Saturday 30 December 2017 18:10 GMT
North Korea in 2018: World 'must guarantee Kim Jong-un regime's survival' to deter violent conflict
https://www.independent.co.uk/news/world/asia/north-korea-2018-what-will-happen-nuclear-war-kim-jong-un-regime-power-survive-weapons-test-a8131791.html

毎日新聞,2018年5月29日
「激動の半島情勢 米朝実務者協議 「トランプ流」転換 「下から」信頼醸成
北朝鮮、体制保証に固執」
https://mainichi.jp/articles/20180529/ddm/002/030/080000c
後半の部分
北朝鮮、体制保証に固執」
 【ソウル渋江千春】米朝首脳会談が開催に至るかの鍵を握る実務者協議に、米国がソン・キム駐フィリピン大使らを送ったのに対し、北朝鮮側からは崔善姫(チェソニ)外務次官らが出席した。崔氏は対米交渉のベテラン。協議では首脳会談で主要議題になる非核化だけでなく、北朝鮮が求める体制保証や経済補償の問題も含め議論されるとみられる。
 崔次官は長年通訳として核交渉に同席し、核問題を巡る6カ国協議では次席代表を務めて、対米政策全般に精通している。
 「完全かつ検証可能、不可逆的な非核化」(CVID)を求める米国に対し、北朝鮮は「段階的な非核化」と共に体制保証や制裁解除、経済援助などを求めているとされる。米側はポンペオ国務長官が交渉過程で北朝鮮から米企業進出などによる経済支援を要求されたと明らかにしたほか、トランプ大統領も北朝鮮が非核化に応じた場合、経済支援を提供する考えを示している。
 一方、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は27日、米メディアが米朝首脳会談に関し北朝鮮が米国からの「経済支援」を望んでいると報じていることについて「わずかな期待もかけたことがなく、支援を受けて経済建設をしようと少しも考えたことはない」と反論した。米国では、非核化の見返りに経済支援が強調される論調が広がっており、これにくぎを刺す狙いがあるとみられる。北朝鮮側は経済支援よりも体制保証に固執しており、協議では崔次官も同様の立場を主張しているとみられる。

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