「沈まぬ太陽」が日本アカデミー賞 [メディア・出版・アート]
30日の日比谷大規模集会を「しんぶん赤旗」が報道しないのは目立つ [メディア・出版・アート]
1月30日に日比谷野外音楽堂で開かれた,米軍普天間飛行場の即時閉鎖・辺野古への移設反対の集会は数千人の規模で成功した.大手メディアは,例によってほとんど,あるいは全く無視したようだが,不思議なことに「しんぶん赤旗」がこれを一行も報道しない.これは非常に目立った.さっそく問い合わせのメールを同紙編集部に送った.(一日遅れの2月1日の紙面にも全く見あたらない.)
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今日(2日)メールで返事が届いた.それによると,「日々発生する多くのニュースのなかから、紙面に掲載できるものは限りがある」ので,「そのなかから何を紙面で報道するかは,編集局が掌握したニュースの全体を見て決めて」いる.したがって「採否の理由については公表しないことにしています」とのことである.
そこで,31日の紙面に他にどのような民間集会の記事があったかをチェックしてみた.いずれも前日の30日に実施されたイベントである.
特殊法人労連のシンポ,70名
「ストップ温暖化」公害地球懇報告集会,80名
瀬戸内ネット総会,米軍再編見直し要求,80名
公害なくし救済を,大阪で集会,170名
海自出港への抗議行動,佐世保,人数記載なし
これらに比べて,日比谷での大規模な,しかも現職閣僚である福島瑞穂氏が登壇したような集会が,1行も報道するに値しないという判断は,少なくとも同紙を手にすることのあるような人なら不思議に思うだろう.何か理由があるはずだ.憶測を避けるには,「採否の理由については公表しない」のではなく,むしろ明確にすべきケースだと思われる.もし「気に入ったものだけ報道する」,つまり恣意的に選ぶというのでは,報道媒体としての価値を限りなくゼロにしてしまう.同紙は,政党機関紙,つまり宣伝媒体としてだけでなく,「報道」という機能も自負していたはずではないのか.
(写真は「志村建世のブログ」から拝借)
http://pub.ne.jp/shimura/?entry_id=2706282
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今日(2日)メールで返事が届いた.それによると,「日々発生する多くのニュースのなかから、紙面に掲載できるものは限りがある」ので,「そのなかから何を紙面で報道するかは,編集局が掌握したニュースの全体を見て決めて」いる.したがって「採否の理由については公表しないことにしています」とのことである.
そこで,31日の紙面に他にどのような民間集会の記事があったかをチェックしてみた.いずれも前日の30日に実施されたイベントである.
特殊法人労連のシンポ,70名
「ストップ温暖化」公害地球懇報告集会,80名
瀬戸内ネット総会,米軍再編見直し要求,80名
公害なくし救済を,大阪で集会,170名
海自出港への抗議行動,佐世保,人数記載なし
これらに比べて,日比谷での大規模な,しかも現職閣僚である福島瑞穂氏が登壇したような集会が,1行も報道するに値しないという判断は,少なくとも同紙を手にすることのあるような人なら不思議に思うだろう.何か理由があるはずだ.憶測を避けるには,「採否の理由については公表しない」のではなく,むしろ明確にすべきケースだと思われる.もし「気に入ったものだけ報道する」,つまり恣意的に選ぶというのでは,報道媒体としての価値を限りなくゼロにしてしまう.同紙は,政党機関紙,つまり宣伝媒体としてだけでなく,「報道」という機能も自負していたはずではないのか.
(写真は「志村建世のブログ」から拝借)
http://pub.ne.jp/shimura/?entry_id=2706282
マイケル・ムーアの「キャピタリズム」 [メディア・出版・アート]
連休はマイケル・ムーアの「キャピタリズム」を見た.「ボウリング・フォー・コロンバイン」以来ずっと彼の作品を見てきたが,相変わらずムーア節は快調だ.本人が「娯楽性を重視」と言っているとおり,単なる「ドキュメンタリー映画」の範疇には収まらない.「ドキュテインメント」と呼ぶべきものかも知れない.そしてムーア監督は「ドキュメンタテイナー」とでも・・・.
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今度の作品は,タイトルのとおり資本主義そのものをターゲットにしている.そしてその中心に据えられているのは一昨年の「リーマン・ショック」で暴かれたウオール街の連中による収奪の構造だ.
国会議員も何人か登場する.大統領選に立候補したクシニッチはほんの一瞬だったが,マーシー・カプター(Marcy Kaptur)という女性の下院議員(→ウェブサイト)は何度か出る.この人は全く知らなかったのだが,彼女の鋭い,勇気ある発言には感心した.外見は,そこらへんのスーパーで買い物でもしていそうな,ふつうのおばさんという感じだ.
ネット上に,このカプター議員とムーア監督がプレミアショーと思われる集会で顔を合わせ,やりとりをしている動画を見つけた.
http://vodpod.com/watch/2235162-video-michael-moore-and-rep-marcy-kaptur-discuss-his-new-movie-capitalism-a-love-story
フロアにいたカプター議員を,監督が「制作側の立場で出演したベストの女優,今年度のオスカー候補」として紹介し,登壇させている.そして二人の軽快なやりとりと続くが,残念ながら私の耳ではユーモアやジョークの部分がほとんど理解出来ない.
映画のエンドロールの音楽は,旧左翼にとっては「昔懐かし」の,あの「インターナショナル」,それが軽快なジャズのアレンジで流れる.これは意外と流行るかも,と思う.
この映画の大事な要素はもちろん「エンタテインメント性」だけではない.解雇された工場労働者の職場占拠の闘いが勝利に終わるエピソードに象徴されるように,ふつうの人々に,労働者に,限りないエンパワーメントを与えるものだ.
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今度の作品は,タイトルのとおり資本主義そのものをターゲットにしている.そしてその中心に据えられているのは一昨年の「リーマン・ショック」で暴かれたウオール街の連中による収奪の構造だ.
国会議員も何人か登場する.大統領選に立候補したクシニッチはほんの一瞬だったが,マーシー・カプター(Marcy Kaptur)という女性の下院議員(→ウェブサイト)は何度か出る.この人は全く知らなかったのだが,彼女の鋭い,勇気ある発言には感心した.外見は,そこらへんのスーパーで買い物でもしていそうな,ふつうのおばさんという感じだ.ネット上に,このカプター議員とムーア監督がプレミアショーと思われる集会で顔を合わせ,やりとりをしている動画を見つけた.
http://vodpod.com/watch/2235162-video-michael-moore-and-rep-marcy-kaptur-discuss-his-new-movie-capitalism-a-love-story
フロアにいたカプター議員を,監督が「制作側の立場で出演したベストの女優,今年度のオスカー候補」として紹介し,登壇させている.そして二人の軽快なやりとりと続くが,残念ながら私の耳ではユーモアやジョークの部分がほとんど理解出来ない.映画のエンドロールの音楽は,旧左翼にとっては「昔懐かし」の,あの「インターナショナル」,それが軽快なジャズのアレンジで流れる.これは意外と流行るかも,と思う.
この映画の大事な要素はもちろん「エンタテインメント性」だけではない.解雇された工場労働者の職場占拠の闘いが勝利に終わるエピソードに象徴されるように,ふつうの人々に,労働者に,限りないエンパワーメントを与えるものだ.
優れた反戦映画でもある「アバター」 [メディア・出版・アート]
映画「アバター」を鑑賞しました.冒険物語のスペクタクルとしても素晴らしいですが,同時に優れた反戦映画です.映画館に足を運んだのは,出勤はしたものの,まだ屠蘇気分の醒めやらぬ4日夜のことです.
3D映写ということで,どんな割引もない2千円の高価な映画ですが,とても見応えがあります.3時間近い長編なので,3Dメガネをかけての鑑賞は疲れるだろうと思っていましたが,非常に自然に仕上がっているので,老朽化した眼でもセーフでした.
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さて内容ですが,地球から遠く離れた惑星「パンドラ」に埋蔵された高価な資源を求めて進出したアメリカ軍(海兵隊)が,その星の先住民「ナヴィ」を「野蛮人」と見下して戦争を仕掛けるというもの.戦争の技術としては,戦闘機やミサイルなどの従来型に加え,映画のタイトル“Avatar”(分身)のもととなっている,ある斬新なアイデアが中心となって話が展開します.

ファンタジックに表現される先住民の素朴な暮らしと自然,それに対比して,いかにも「高度技術」で装備し尽くされた米軍(地球軍?)基地ですが,そこで指令を出す鉱物資源開発会社の人間や軍人たちの口から出る言葉の軽薄さ(「株主が満足しない」という言葉も聞かれる)と残忍さ.「どっちが野蛮人?」と,この映画は問うています.
「これはまさに現在アメリカが,アフガニスタンやイラクでやっていることだよ」と監督は言っていると,私は受け取りました[註].もちろん「侵略の残忍さ」とか,「異民族への支配」,あるいは「人間の強欲」という普遍的なテーマを扱っているのですが,それを今日の世界に当てはめて,惑星「パンドラ」がアフガンやイラクの言わば「アバター」であると想像する人は,観客のうちでどのくらいでしょうか?そして,もしバラク・オバマがこの映画を見たとしたら,一体どのように解釈するのでしょうか?まさか「ナヴィ」を「タリバン」や「アルカイダ」と見なしたりはしないとは思いますが・・・.

(3D映写について)
映像そのものはすばらしい出来上がりに間違いないのですが,映画館での効果としては,偏光を使う以上,どうしても光量不足(視野が暗い)になるのは避けられません.スクリーンを小さくして,裸眼ではまぶしいくらいにして上映すればこの問題は解消出来ます(さらに料金が上がる?).偏光メガネは,できるだけ明るくするための反射防止コーティングが施された上等なものでした.見終わったら返却しなければなりません.
字幕版は,画面からの情報量が多いので(奥行き情報が追加)ちょっとつらい.それに,字幕までの「距離」は固定されているため,ときどき登場人物の“体の中”に現れたりします.これではせっかく「実像」を見せているにもかかわらず,映像が「虚像」であるかのような印象を与えるので,これもマイナス要因.3Dは吹き替え版に限ります.
3Dによって迫力が増すかと言えば,100パーセントそうばかりとも言えないようです.従来の2D映写では想像力で奥行きを感じ取っているのですが,この想像力が停止させられ,「そこに見せられるだけ」の奥行き感に限定されてしまいます.これはむしろ映像のスケールを小さくしてしまっているのではないかと感じました.
3Dと言えば,たまたま私の今年の年賀状は,月の3D画像をモチーフにしたものでした.
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/blog/greeting2010.pdf
3Dつながりで,ブログ内と関連サイトの立体映像関連の記事にリンクしておきます.
中秋の名月,少し手の込んだ楽しみ方を・・・
中秋の名月ステレオ版
ゴジラスコープ
空間描画装置(Space Vision)
[註] 米軍がアフガニスタンで行っている「アバターまがい」の作戦については,拙ブログ記事をご覧下さい: 宇宙を経由した殺人・テロ
3D映写ということで,どんな割引もない2千円の高価な映画ですが,とても見応えがあります.3時間近い長編なので,3Dメガネをかけての鑑賞は疲れるだろうと思っていましたが,非常に自然に仕上がっているので,老朽化した眼でもセーフでした.
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さて内容ですが,地球から遠く離れた惑星「パンドラ」に埋蔵された高価な資源を求めて進出したアメリカ軍(海兵隊)が,その星の先住民「ナヴィ」を「野蛮人」と見下して戦争を仕掛けるというもの.戦争の技術としては,戦闘機やミサイルなどの従来型に加え,映画のタイトル“Avatar”(分身)のもととなっている,ある斬新なアイデアが中心となって話が展開します.

ファンタジックに表現される先住民の素朴な暮らしと自然,それに対比して,いかにも「高度技術」で装備し尽くされた米軍(地球軍?)基地ですが,そこで指令を出す鉱物資源開発会社の人間や軍人たちの口から出る言葉の軽薄さ(「株主が満足しない」という言葉も聞かれる)と残忍さ.「どっちが野蛮人?」と,この映画は問うています.
「これはまさに現在アメリカが,アフガニスタンやイラクでやっていることだよ」と監督は言っていると,私は受け取りました[註].もちろん「侵略の残忍さ」とか,「異民族への支配」,あるいは「人間の強欲」という普遍的なテーマを扱っているのですが,それを今日の世界に当てはめて,惑星「パンドラ」がアフガンやイラクの言わば「アバター」であると想像する人は,観客のうちでどのくらいでしょうか?そして,もしバラク・オバマがこの映画を見たとしたら,一体どのように解釈するのでしょうか?まさか「ナヴィ」を「タリバン」や「アルカイダ」と見なしたりはしないとは思いますが・・・.

(3D映写について)
映像そのものはすばらしい出来上がりに間違いないのですが,映画館での効果としては,偏光を使う以上,どうしても光量不足(視野が暗い)になるのは避けられません.スクリーンを小さくして,裸眼ではまぶしいくらいにして上映すればこの問題は解消出来ます(さらに料金が上がる?).偏光メガネは,できるだけ明るくするための反射防止コーティングが施された上等なものでした.見終わったら返却しなければなりません.
字幕版は,画面からの情報量が多いので(奥行き情報が追加)ちょっとつらい.それに,字幕までの「距離」は固定されているため,ときどき登場人物の“体の中”に現れたりします.これではせっかく「実像」を見せているにもかかわらず,映像が「虚像」であるかのような印象を与えるので,これもマイナス要因.3Dは吹き替え版に限ります.
3Dによって迫力が増すかと言えば,100パーセントそうばかりとも言えないようです.従来の2D映写では想像力で奥行きを感じ取っているのですが,この想像力が停止させられ,「そこに見せられるだけ」の奥行き感に限定されてしまいます.これはむしろ映像のスケールを小さくしてしまっているのではないかと感じました.
3Dと言えば,たまたま私の今年の年賀状は,月の3D画像をモチーフにしたものでした.
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/blog/greeting2010.pdf
中秋の名月,少し手の込んだ楽しみ方を・・・
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ゴジラスコープ
空間描画装置(Space Vision)
[註] 米軍がアフガニスタンで行っている「アバターまがい」の作戦については,拙ブログ記事をご覧下さい: 宇宙を経由した殺人・テロ
発行されたばかりの劉暁波氏の本 [メディア・出版・アート]
昨日の記事で,中国の民主活動家・劉暁波(リュウ・シャオボ)氏への懲役刑判決のことを取り上げたが,今日,大学生協の書店で,この劉暁波氏の,出版されたばかりの本を見つけた.天安門事件から「08憲章」へ
(藤原書店,'09年12月30日発行)
3千円を超える高価な本だったが,応援の意味も込めてすぐに購入した.
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裏の帯に,編集者である劉燕子(リュウ・イェンズ)氏の解説からその一節が抜き書きされている.日本の知識人の中国に対する姿勢について,まさに核心を突いた言葉ではないだろうか.

この本の序文を書いている子安宣邦氏のウェブサイトに「08憲章」の全文がある.
「08憲章=中華連邦共和国憲法要綱をどんどん読もう」という文章の後にある.
http://homepage1.nifty.com/koyasu/remark.html
追記:当ブログの関連記事
天安門事件20年の日の「しんぶん赤旗」は・・・('09.06.04)
「日本の知識人に問う!」
「中国と日本の間でマージナルな立場にある私は考えさせられる。一方で、親中派や左派は、侵略の歴史に後ろめたく、また社会主義国の最後の砦として中国を擁護していて、他方で、右派でも経済優先の人は中国政府の思惑に従うようにしている、と。このように、日本では左派と右派が政治やイデオロギーの違いを超えて中国政府を容認する構造が形成され、中国批判は反中国の右翼というレッテルを貼られるようになっている。そうしたレッテル貼りから脱却し、右であれ、左であれ、隣国の現状を日本の知識人に正視していただきたい。政治的に独立することは政治に関して発言しないことではないはずである。政治的に独立した立場で、現在の中国の政治について考え、発言していただきたい。」(編者・劉燕子)
映画「沈まぬ太陽」 [メディア・出版・アート]
ネットで見られるニュースでは,「始球式には米国のジョージ・ブッシュ前大統領が登場した」とあるだけで,会場でブーイングぐらいはあったのかどうか,分からない.九州にいては,一昨日紹介した「反戦と抵抗のフェスタ」に参加することもできず・・・と言うわけで今日は映画館に行った.(ホントは東京以外のどこでも「戦犯容疑者逮捕」を街頭で呼びかけなければいけないのだけれど)応援のクリック歓迎 (1日1回まで) 
見た映画は話題の「沈まぬ太陽」.原作をちょっと手に取ったことはあるのだが,なにしろあの長編,読むまでには行かなかった.
驚いたのは観客の多さ.客席はほとんど満員だった.休日でも,また人気の映画でも,これほどの入りは最近経験したことがない.
途中休憩をはさむ3時間を超える大作で,十分に見応えのあるものだった.もちろん細かく言えば,描写不足,説明不足だったり,説明目的ミエミエの台詞があったり,難点はあるが,主演の渡辺謙のみごとな演技を中心に,よくドラマティックにまとまっていた.労働組合がこのように大きく肯定的に扱われる映画も最近では少ないだろう.
日航123便墜落事故がテーマの大きな柱である.広島,長崎は世界平和にとっての「聖地」だという人がいたが,同じような意味で,御巣鷹山は日本の航空輸送の安全に関わる人にとっての「聖地」だろう.(もっとも,事故原因そのものについては,公式に流布されている「修理ミス説」は大いに疑問であり,「ミサイル標的機原因説」についても公に議論されるべきだ.)
印象に残ったシーンの一つは,総理大臣の「使い」(瀬島龍三がモデルと思われる)が,自分が担ぎ出した国民航空(もちろん日航がモデル)会長に「クビ」を言い渡した後の場面だ.事故の後,総理大臣から頼まれて就任したのに,「政治」の都合でクビにされることに会長は当然怒る.靖国神社の境内でこの密会は行われるが,別れた後,「使い」は靖国に参拝するため神社に向かって歩いて行く後ろ姿になり,一方会長は画面を横切って左手に去る.このシーンで語られた台詞と併せて,戦争と事故という,規模は違うが失われた多くの命に対するこの映画の姿勢が込められているように思えた.

見た映画は話題の「沈まぬ太陽」.原作をちょっと手に取ったことはあるのだが,なにしろあの長編,読むまでには行かなかった.驚いたのは観客の多さ.客席はほとんど満員だった.休日でも,また人気の映画でも,これほどの入りは最近経験したことがない.
途中休憩をはさむ3時間を超える大作で,十分に見応えのあるものだった.もちろん細かく言えば,描写不足,説明不足だったり,説明目的ミエミエの台詞があったり,難点はあるが,主演の渡辺謙のみごとな演技を中心に,よくドラマティックにまとまっていた.労働組合がこのように大きく肯定的に扱われる映画も最近では少ないだろう.
日航123便墜落事故がテーマの大きな柱である.広島,長崎は世界平和にとっての「聖地」だという人がいたが,同じような意味で,御巣鷹山は日本の航空輸送の安全に関わる人にとっての「聖地」だろう.(もっとも,事故原因そのものについては,公式に流布されている「修理ミス説」は大いに疑問であり,「ミサイル標的機原因説」についても公に議論されるべきだ.)
印象に残ったシーンの一つは,総理大臣の「使い」(瀬島龍三がモデルと思われる)が,自分が担ぎ出した国民航空(もちろん日航がモデル)会長に「クビ」を言い渡した後の場面だ.事故の後,総理大臣から頼まれて就任したのに,「政治」の都合でクビにされることに会長は当然怒る.靖国神社の境内でこの密会は行われるが,別れた後,「使い」は靖国に参拝するため神社に向かって歩いて行く後ろ姿になり,一方会長は画面を横切って左手に去る.このシーンで語られた台詞と併せて,戦争と事故という,規模は違うが失われた多くの命に対するこの映画の姿勢が込められているように思えた.
「歌わせたい男たち」がDVDに,ほか [メディア・出版・アート]
文化・芸能関係で二題.
一つは「水戸黄門」.このブログではこのドラマを再三批判してきたのだが,その甲斐もなくまたまた「しんぶん赤旗」がこの番組を持ち上げた.恒例となった新シリーズ開始の提灯記事が昨日の日刊紙に掲載された.松下政経塾と並ぶ,当時の松下電器が創造した二大イデオロギー装置の一つであり,国民全般への直接の影響という点ではこちらの方がはるかに絶大である.「道徳ポルノ」としてのこの番組のイデオロギー性に対して同紙はあまりにも盲目過ぎる.
詳しくは4年前の次の記事をご覧下さい.
松下電器が作った二つのイデオロギー装置
もう一つはいいニュース.二兎社が公演した「歌わせたい男たち」のDVDが発売されている.2年前のブログ記事で「是非ビデオ化を」と書いたのを,二兎社の人が読んだに違いない!!(状況証拠:その記事のTBが主演の戸田恵子さんのブログに届いたのだ.)
DVD,さっそく注文しよう.
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----------
二兎社公演「歌わせたい男たち」
作・演出=永井愛
出演=戸田恵子 大谷亮介 小山萌子 中上雅巳 近藤芳正
朝日舞台芸術賞グランプリ、読売演劇大賞最優秀作品賞受賞作
販売価格=5,000円(税込)
収録=2008年3月12日 東京新宿・紀伊國屋ホール
製品仕様=片面1層ディスク
映像=16:9
内容時間=108分
音声=ステレオ
発売元・販売元=二兎社
一つは「水戸黄門」.このブログではこのドラマを再三批判してきたのだが,その甲斐もなくまたまた「しんぶん赤旗」がこの番組を持ち上げた.恒例となった新シリーズ開始の提灯記事が昨日の日刊紙に掲載された.松下政経塾と並ぶ,当時の松下電器が創造した二大イデオロギー装置の一つであり,国民全般への直接の影響という点ではこちらの方がはるかに絶大である.「道徳ポルノ」としてのこの番組のイデオロギー性に対して同紙はあまりにも盲目過ぎる.
詳しくは4年前の次の記事をご覧下さい.
松下電器が作った二つのイデオロギー装置
もう一つはいいニュース.二兎社が公演した「歌わせたい男たち」のDVDが発売されている.2年前のブログ記事で「是非ビデオ化を」と書いたのを,二兎社の人が読んだに違いない!!(状況証拠:その記事のTBが主演の戸田恵子さんのブログに届いたのだ.)DVD,さっそく注文しよう.
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二兎社公演「歌わせたい男たち」
作・演出=永井愛
出演=戸田恵子 大谷亮介 小山萌子 中上雅巳 近藤芳正
朝日舞台芸術賞グランプリ、読売演劇大賞最優秀作品賞受賞作
販売価格=5,000円(税込)
収録=2008年3月12日 東京新宿・紀伊國屋ホール
製品仕様=片面1層ディスク
映像=16:9
内容時間=108分
音声=ステレオ
発売元・販売元=二兎社
ポチの告白 [メディア・出版・アート]
東京に来た機会を利用して,話題の映画,警察の犯罪を扱った「ポチの告白」を見た.残念なことに九州では大分しか上映の予定がないため,現在全国で唯一となっている渋谷のアップリンクに足を運んだ.もともと開始時刻に20分も間に合わないにもかかわらず,である.ところがさらに飛行機が20分以上も遅れたため,上映開始から40分も過ぎた頃からの鑑賞となった.それでも3時間15分もの長編なので,十分に楽しめた.応援のクリック歓迎 (1日1回まで)

警察の犯罪と言えば裏金問題が有名だが,とてもとてもそれどころではないという実態が暴かれる.実に怖い映画だ.警察だけでなく,記者クラブに飼い馴らされた「ジャーナリスト」の腰抜けぶりもこの映画のテーマである.
映画の中では小さなエピソードだが,警察署長が,警官の犯罪を担当する裁判官を防犯カメラの映像をネタに恐喝するシーンがある.確かに防犯カメラや,全国の道路に張り巡らされているNシステムによる情報の管理がいったいどうなっているのか,全く不透明だ.おそらく警察の恣意的な利用を禁止するような,市民のプライバシーが保護されるようなシステムは出来ていなくて,この映画のように警察が悪用することが十分にあり得るのだろう.
社会的に重い問題を扱ったものだが,十分に娯楽性も備えている.途中にトイレ休憩が入るほどの長編だが,最後まで映画の中に吸い込まれる.欲を言えば,もう少しユーモアや「面白さ」があれば良かったと思う.それに,最後の数分の独白は,いかにも取って付けたようでいただけない.警察の犯罪を扱った映画では「LAコンフィデンシャル」が思い出されるが,この映画は負けていないと思う.特にジャーナリストやジャーナリストを志す人は必見の映画だと思う.もちろん警察官を志す人も.
東京渋谷のアップリンク・ファクトリーで明日31日まで.
「天使と悪魔」,ローマ・バチカン観光としてなら [メディア・出版・アート]
セルン(欧州原子核研究所)が舞台の一つになり,ラングドン教授の相手役がそこの女性科学者だという.おまけにガリレオや,「宗教と科学」がテーマだ,などという触れ込みだったので,「そんなら見ておかなければ」と,昨夜は「天使と悪魔」に行った.結果は・・・壮大な駄作.
まあ,セルンの「オープンキャンパス」とローマ・バチカン観光に行くと思えば,チケット代の3割ぐらいにはなるかも知れない.
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物理学の小道具(大道具?)として反物質が出てくるので,ちょっとだけコメントを.
素粒子レベルでの反物質つまり反粒子は,電子とほかの性質が全く同じで電気の符合だけが反対の,つまりプラスの,「陽電子」が古くから知られている.また陽子,つまり水素イオンについても,マイナスの電気を持った「反陽子」が発見されてすでに50年になる.これはセルンでビームとして「量産」されるようになってすでに数十年になる.しかし原子レベルとなると,最も簡単な原子である反水素,つまり反陽子の周りを陽電子が回っている原子が初めて作られたのが2002年のことである*.
次に「反ヘリウム」が作られるのはいつのことか分からない.現在の技術の延長としては不可能であろう.
さて,この反物質が,たとえば反水素のガスの何グラムで,映画のような5キロトンの爆発に相当するか計算して見る(ちょっとスジのネタバレになってしまった).
有名なアインシュタインの関係式 E=mc^2 を使えばよい.反物質は同じ量の物質と消滅してエネルギーに変わるので,反物質1kgであればmに2を代入,c(光速)は3x10^8m/sとして,1.8x10^17Jとなる.反物質1gならその千分の1つまり1.8x10^14J.
TNT火薬5キロトンは1.3x10^13Jに相当するので**,したがってこれに対応する反物質の量は0.072gということになる.映画に出てきたカプセルにあるのが液体とすれば,だいたい見た感じと一致する.もっとも,反物質の原子や分子は電気を持たないので,磁場や電場の組み合わせでそれを宙づりにすることは出来ない.
--------
* 東大・早野龍五氏のウェブサイト参照
http://nucl.phys.s.u-tokyo.ac.jp/hayano/jp/反水素原子.html
** 筆者の「エネルギー問題関連数値」参照下さい.
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/EnergyProblem/table-of-cons.pdf
単位記号:kg:キログラム,g:グラム,J:ジュール,m/s:メートル毎秒.
指数表示:たとえば,1.3x10^13は,「1.3掛ける10の13乗」と読んで下さい.
--------
6月9日追記
上記の早野龍五氏が自分のウェブサイトで「物理学者とともに読む 『天使と悪魔』の虚と実 50のポイント」と題して,詳細に記事を書いています.
https://blog.so-net.ne.jp/MyPage/blog/article/edit/input?id=12984422
また,「日経サイエンス」最新号(7月号)には,「『天使と悪魔』と素粒子物理学」と題した4ページの記事があります.実はこの記事で,早野氏の上記のページを知りました.
まあ,セルンの「オープンキャンパス」とローマ・バチカン観光に行くと思えば,チケット代の3割ぐらいにはなるかも知れない.
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物理学の小道具(大道具?)として反物質が出てくるので,ちょっとだけコメントを.
素粒子レベルでの反物質つまり反粒子は,電子とほかの性質が全く同じで電気の符合だけが反対の,つまりプラスの,「陽電子」が古くから知られている.また陽子,つまり水素イオンについても,マイナスの電気を持った「反陽子」が発見されてすでに50年になる.これはセルンでビームとして「量産」されるようになってすでに数十年になる.しかし原子レベルとなると,最も簡単な原子である反水素,つまり反陽子の周りを陽電子が回っている原子が初めて作られたのが2002年のことである*.
次に「反ヘリウム」が作られるのはいつのことか分からない.現在の技術の延長としては不可能であろう.
さて,この反物質が,たとえば反水素のガスの何グラムで,映画のような5キロトンの爆発に相当するか計算して見る(ちょっとスジのネタバレになってしまった).
有名なアインシュタインの関係式 E=mc^2 を使えばよい.反物質は同じ量の物質と消滅してエネルギーに変わるので,反物質1kgであればmに2を代入,c(光速)は3x10^8m/sとして,1.8x10^17Jとなる.反物質1gならその千分の1つまり1.8x10^14J.
TNT火薬5キロトンは1.3x10^13Jに相当するので**,したがってこれに対応する反物質の量は0.072gということになる.映画に出てきたカプセルにあるのが液体とすれば,だいたい見た感じと一致する.もっとも,反物質の原子や分子は電気を持たないので,磁場や電場の組み合わせでそれを宙づりにすることは出来ない.
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* 東大・早野龍五氏のウェブサイト参照
http://nucl.phys.s.u-tokyo.ac.jp/hayano/jp/反水素原子.html
** 筆者の「エネルギー問題関連数値」参照下さい.
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/EnergyProblem/table-of-cons.pdf
単位記号:kg:キログラム,g:グラム,J:ジュール,m/s:メートル毎秒.
指数表示:たとえば,1.3x10^13は,「1.3掛ける10の13乗」と読んで下さい.
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上記の早野龍五氏が自分のウェブサイトで「物理学者とともに読む 『天使と悪魔』の虚と実 50のポイント」と題して,詳細に記事を書いています.
https://blog.so-net.ne.jp/MyPage/blog/article/edit/input?id=12984422
また,「日経サイエンス」最新号(7月号)には,「『天使と悪魔』と素粒子物理学」と題した4ページの記事があります.実はこの記事で,早野氏の上記のページを知りました.
最近見た映画・・『グラン・トリノ』ほか [メディア・出版・アート]
クリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』はとてもいい作品だ.ストーリーはむしろ単純だが,作りがとても丁寧で,2時間完全にイーストウッドの世界に引き込まれる.民族・人種問題など多様な社会的現実が豊富に織り込まれていて,含蓄が深い.しかしこの映画のコアをなすのは戦争と暴力の問題だと見る.(ただし戦争のシーンが一コマでも出てくるわけではない.)
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朝鮮戦争に従軍経験のある老人コワルスキ(イーストウッド)は,年寄りの冷や水どころかマッチョそのものに地域のゴロツキたちと渡り合う.しかし彼は戦争で無抵抗の相手を殺害したという深い心の傷を負っている.その彼が悪ガキたちと「体を張って」戦う最後のやりかたとは何か?
世界中で傲慢な力の支配を続けるアメリカ帝国の市民が,この映画からどこまでその深いメッセージ性を読み取るだろうか?
フランスのアルジェリア戦争を描いた「いのちの戦場--アルジェリア1959--」も優れた映画だ.なぜ今頃アルジェリア戦争か,と思われるかも知れないが,今もアメリカを中心とする帝国主義的な戦争が絶えないどころか,いっそうひどくなっている状況が監督の頭にあることは間違いない.公式サイトに「フランス版プラトーン」とある.
ハリウッド映画に戻るが,トム・クルーズ主演の「ワルキューレ」は二時間息もつかせない.ヒトラー暗殺計画のことは聞いていたが,これほど組織的で,しかも成功寸前まで行ったものだったとは知らなかった.反乱者は殺されたが,ドイツに偉大なる誇りという遺産を残した.ドイツだけでなく世界に.
映画の公式HPないし関連サイト
グラン・トリノ
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/#/top
いのちの戦場--アルジェリア1959--
http://www.1959.jp/
ワルキューレ
http://blog.goo.ne.jp/ryouta0520555/e/d9c20756447e6b2b4abd4e84454f9753
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朝鮮戦争に従軍経験のある老人コワルスキ(イーストウッド)は,年寄りの冷や水どころかマッチョそのものに地域のゴロツキたちと渡り合う.しかし彼は戦争で無抵抗の相手を殺害したという深い心の傷を負っている.その彼が悪ガキたちと「体を張って」戦う最後のやりかたとは何か?
世界中で傲慢な力の支配を続けるアメリカ帝国の市民が,この映画からどこまでその深いメッセージ性を読み取るだろうか?
フランスのアルジェリア戦争を描いた「いのちの戦場--アルジェリア1959--」も優れた映画だ.なぜ今頃アルジェリア戦争か,と思われるかも知れないが,今もアメリカを中心とする帝国主義的な戦争が絶えないどころか,いっそうひどくなっている状況が監督の頭にあることは間違いない.公式サイトに「フランス版プラトーン」とある.
ハリウッド映画に戻るが,トム・クルーズ主演の「ワルキューレ」は二時間息もつかせない.ヒトラー暗殺計画のことは聞いていたが,これほど組織的で,しかも成功寸前まで行ったものだったとは知らなかった.反乱者は殺されたが,ドイツに偉大なる誇りという遺産を残した.ドイツだけでなく世界に.
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いのちの戦場--アルジェリア1959--
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