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北方領土を「戦争で島を取り返す」のはダメで,南西諸島の「島嶼奪回作戦」はいいのか? [反核・平和]

koiketweet-maruyama.jpg丸山穂高衆議院議員(維新)の,北方領土に関する「戦争けしかけ発言」が問題になっている.北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪問した同議員が11日夜、滞在先の国後島古釜布(ふるかまっぷ)で元島民の男性に対して発した言葉とのことだ.HTB北海道テレビが録音の文字起こしを公表している.それによると,
同行した記者が録音した丸山議員の音声です。
 丸山議員音声「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか?反対ですか?」
 団長「戦争で?」
 丸山「ロシアが混乱しているときに取り返すのはOKですか?」
 団長「戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」
 丸山「でも取り返せないですよね?」
 団長「いや、戦争はすべきではない」
 丸山「戦争しないとどうしようもなくないですか?」 
 団長「いや、戦争は必要ないです」
明らかな「戦争けしかけ発言」であり,違憲であり,議員辞職に値する.
丸山発言についての毎日の報道

問題にしたいのは,事実上同様のことを公然と述べた文書が政府機関によって出されているのに(下にリンク),咎める人がほとんどいないと言うことだ.次は2017年に,佐賀空港オスプレイ配備計画での地権者説明会で配られた防衛省資料の,「島嶼防衛や奪回」を説明する挿画である.これはまさしく「戦争でこの島を取り返すこと」そのものではないか? 果たして広く公表されているこの文書に対して,護憲勢力や平和運動は何らか抗議の声を上げたのだろうか? 
osprey-saga-boeisho201704p3.jpg

丸山議員はのちに,「北方領土を戦争で取られた」から(戦争で)取り返すという議論もありうると述べたとのことだが(同テレビ),この防衛省の挿画と文書も同じように,「戦争で取られた」という話である.それとも,「取られた」のが最近だったら戦争で取り返してもいいというのか?何日前までだったら,何ヶ月か前だったらいいのか?そう言う問題なのか?

anosa.jpg(16時半頃追記)むしろ後者が重大なのは,丸山議員の場合は戦争「発言」だが,防衛省の場合は,演習や,西南諸島への自衛隊基地拡大など,戦争「準備」を進めているということだ.「戦争発言」が悪くて具体的な「戦争準備」は問題ないとか,必要とか,そんな理屈はあり得ない.(追記終わり)

さらに言えば・・・

共産党の大会決議に,2017年,5大会ぶりに復活した「自衛隊活用」論も同様の問題を含む.曰く,「急迫不正の主権侵害や大規模災害など、必要に迫られた場合には、自衛隊を活用することも含めて・・・国民の命を守る」.

「主権侵害」の際に自衛隊を活用とは,その時に使う道具はスコップやショベルカーだけではないだろう.つまり「自衛戦争も辞さず」と言うことだ.「自衛隊を活用」した場合,一体どのような事態の展開になるのか,被害がどうなるのか,自衛戦争に訴えなかった場合より被害は少ないのか,果たしてシミュレーションをしたことがあるのか?

護憲勢力は,おそらく「戦術的配慮」という考えでだろうが,あからさまに自衛隊違憲論を言わなくなって久しい.「集団的自衛権」反対を強調するあまり,「個別的自衛権」(もちろん軍事力による)はあたかも認めてしまったかのようである.一見,多様な意見の人々をまとめるのに合理的であるかのようだが,明らかな矛盾を含む論は説得力を欠くだけでなく,戦争容認への無限の後退につながる.

今こそ,カントの「永遠平和のために」の第三条項(常備軍は時とともに全廃されなければならない)が極めて実際的で今日的な命題であることを認め,9条の原点に戻らなければならない.

憲法9条と合致する自衛権のあり方については,(下にも挙げていますが)数年前の記事「憲法九条下での国防」を参照頂ければありがたい.
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戦争を公然と主張する政府の文書
問題の防衛省のパンフレット「陸上自衛隊の佐賀空港利用について」
2018年防衛白書から「2 島嶼(とうしょ)部に対する攻撃への対応」の部分

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